トップ泌尿器科・内科・小児科・皮膚科・性病科の紹介泌尿器科のはなし性病や泌尿器科・皮膚科のFAQお問い合わせ


第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第1章 帽子を被ったオチンチンの話
おかあさんへのメッセ−ジ

第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第2章 おちびさんのオチンチンの
病気−こんな時こそ泌尿器科へ
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第3章 前立腺肥大症の話
健康なお年寄りの病気
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第4章 前立腺癌−
米国では癌罹患率第1位
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第5章 前立腺炎―ご存知ですか?
若い人の「前立腺の病気」
第六章 血精液症の話し第6章 血精液症の話し
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第7章 性感染症対策
マニュアル(其の一)−男性編
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第7章 性感染症対策
マニュアル(其の二)−女性編
第八章 シラミのお話し第8章 シラミのお話し
第九章 膀胱炎のお話し第9章 膀胱炎のお話し
第十章 尿路結石の話第10章 尿路結石の話
第十一章 漢方薬の話し(其の一)第11章 漢方薬の話し(其の一
第十一章 漢方薬の話し(其の二)第11章 漢方薬の話し(其の二)
第十二章 尿路感染症の話し第12章 尿路感染症の話し
第十三章 季節と病気の話し第13章 季節と病気の話し
第十四章 「五月の病気」について第14章 「五月の病気」について
第十五章 「六月の病気」について第15章 「六月の病気」について
第十六章 七月の病気「夏ばて」第16章 七月の病気「夏ばて」
第十七章 「九月の病気」の話し第17章 「九月の病気」の話し
第十八章 「病後の漢方」の話し第18章 「病後の漢方」の話し
第十九章 「道下 俊一先生」の話し第19章 「道下 俊一先生」の話し
第二十章 インフルエンザについて第20章 インフルエンザについて
第二十一章 肥満について 第21章 肥満について

第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第22章 「風邪を引くと、
何故よく眠るのか?」について


>>> ドクトルマルガリータのはなし >>>
第18章 「病後の漢方」の話

親愛なる友に。

突然の病、元気な貴方はさぞ驚いたことでしょう。人間ドックで発見され、その日にお会いした時、貴方は元気な笑顔を周りの人に見せてくださいました。そのことを後で知り、私は、貴方の責任感と強い精神力に驚きました。
こんな時、周りの人は色んなことを言います。その言葉が、嘘であっても当人の心を傷つけてしまうことお構いなしです。病後は、免疫力の低下が回復を遅らせます。肉体的には、本人の努力で守ることが出来ます。しかし、精神は社会生活を営んでいく上で係わりあう人達の最善の気遣いを必要とします。精神面での余計な気遣いは、免疫力を低下させることを認識しなくてはならないと思います。
「二度とない人生だから一輪の花にも無限の愛をそそいでいこう一羽の鳥の声にも無心の耳をかたむけていこう」 私の大好きな詩人坂村真民先生の詩です。
貴方のことを思った時、この詩が浮かびました。二度とない人生だから、一輪の花にも、一羽の鳥にも、即ち、どんな小さな生き物や植物にも優しさを持って接していこう。小さなことにも心を配ろう。人生は一度きりだから、小さな事を大切にすることにより、人生は充実し心豊かになるでしょう。このような内容なのですが、私の胸を共鳴しました。

東洋医学専門医として、病後の漢方治療についてお話したいと思います。
最近、医学界では「集学的治療」という言葉がよく使われます。いろいろな分野の技術・知識・経験を生かすことが、患者本位の治療に繋がりますし、ここに漢方の出番もあるわけです。患者さんに漢方が使われますのは、一義的に術前・術後の体力補強、あるいは体力回復のためです。
現代医療では、手術後経口摂取が制限されても、中心静脈栄養法や成分栄養法が開発され、栄養管理は飛躍的に改善しました。しかし、体力や諸機能がなかなか回復しない方もみられます。
そこで、漢方の処方で、「大病後の全身衰弱や疲労、とくに貧血による気力・体力の衰えを回復させる」十全大補湯という漢方がよく用いられます。全国の臨床調査では、十全大補湯の効果として、食欲改善・白血球の減少傾向が抑えられることが分かっております。また、十全大補湯に含まれる人参には、現代医学の免疫療法剤にほぼ近い効果があることが動物実験で確認されています。
十全大補湯は、中国の宋時代の陳師文の著した「和剤局方」の諸虚門−体力低下や衰弱する病気に関する項目に載っている処方です。この「和剤局方」は、宋時代の薬局方とも言うべき書物で、わが国の「日本薬局方」の名はこの書にちなんだものです。
その構成生薬は、人参にんじん・朮じゅつ・茯苓ぶくりょう・甘草かんぞう・当帰とうき・川芎せんきゅう・芍薬しゃくやく・熟地黄じゅくじおう・黄耆おうぎ・桂枝けいしの十種です。
処方の中の人参・朮・茯苓・甘草を合わせたものを四君子湯といいますが、健胃作用があり、食欲を増進させ身体を強壮にします。気の虚を補って元気の衰えを治します。 また、当帰・川芎・芍薬・熟地黄を合わせたものを四物湯といいます。これらは、血の虚を補って貧血を治し、皮膚の乾燥を潤います。
黄耆・桂枝は、これらの作用を強める働きがあります。
ですから、十全大補湯は四君子湯と四物湯を合方して、これに黄耆・桂枝を加えたものです。気虚・血虚をはじめ、体の内部も外部も虚したものを全部補うところから、その名が付けられました。
この薬が使われるのは、大病後とか手術後、あるいは慢性疾患や高齢などで体力・気力ともに衰弱した場合です。
具体的な症状としては、疲労倦怠が強く・食欲不振・貧血・手足の冷え・皮膚の栄養が悪く乾燥しているなどです。また、寝汗や口内乾燥を伴う場合もあります。
しかし、発熱のある場合は用いません。
他にも病後に使われる漢方薬には、補中益気湯・人参栄養湯などがあります。「証」によって使い分けます。漢方の専門医にご相談下さい。
大病後の回復には、安静にしていた時間の3倍はかかると言われています。無理はせずに周囲の人達の「好意」に甘えることも必要かもしれません。
今回は、友人への手紙の形式を取らせていただきましたが、フィクションですので誤解の無きようにご理解ください。

鈴木皮フ泌尿科クリニック診療科目 泌尿器科・内科・小児科・皮膚科・性病科宇都宮市柳田町1284-1TEL028-660-2022