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1.前立腺肥大症のはなし 健康なお年寄りの病気
 「最近、夜トイレに起きるようになったなあ、年をとってきたんだんべか。」「この間なんか、デパートでトイレに行ったら、俺の終わるまで、隣の学生が二人も代わっていたっけなあ。」といった会話が聞えてきます。尿の出が悪いのは、年をとったからだと、腰の曲がったのと同じに考えてはいないでしょうか。
 全国的に、泌尿器科の専門医は少なく、泌尿器科の疾患に対する理解も不十分であり、啓蒙も十二分とは言えなかったのではないかと思います。私は、尿の出が悪いのは、『健康な老人の病気』とよんでいます。
 前立腺とは、いったいどこにあるのでしょう。解剖学的に、膀胱のすぐ下、尿道の奥の方を取りまく男性特有の臓器です。16世紀に解剖学の父、ヴェサリウスは、Pro stataiつまり、膀胱の「前にある臓器」と記載しております。日本では、「解体新書」に「摂護腺」と改められ、今日に至っています。
 前立腺の役目は、全てが分っているわけではありませんが、精液の主要な成分を作っています。
老いると、男性ホルモンの分泌が低下し、精液の分泌が滅り、前立腺は、若い者に負けじと一生懸命に、精液を作ろうと頑張ります。その頑張りが前立腺を肥大させるのです。
 夏みかんを考えてみてください。本来の前立腺は、みかんの皮のようになり、実にあたるところが、前立腺肥大症の腺腫です。尿道はその中を通 るのですから、内側へ内側へと肥大した前立腺に圧迫されて尿が出ずらくなるのです。すなわち、非尿困難です。一般 的に、50歳代は50%、60歳は60%、70歳代は70%の発病が見られると言われております。
 前立腺肥大症には、どのような症状があるのか病期別に治療方法を話していきたいと思います。
[第1期]「最近、お父ちやん、夜中にトイレに行くね。」と奥さんが気が付いたり、そのために二人とも不眠になったりします。トイレに行ってもなかなか小水がでず、昔のような勢いがなくなったりしてきますが、残尿はまだない状態です.もし、私の所へ来ていただければ、原流量 測定器という機械で、単にトイレで小水をするようにしてもらうだけで、排尿の状態をコンピューターが解析し、その程度を図表化いたします。これは、痛くもない検査で病気の状態、治療の程度も分かるので、患者さんには好評のようです。治療は、抗アンドロゲン製剤や漢方薬の併用で患者さんの90%以上が良くなります.
[第2期]残尿(排尿しても、すべて小水を出しきれず、膀胱に残っている状態)が現れ始め、尿閉(尿が膀胱から全く出ない状態)が起こり易い状態となります。では、どんな時に尿閉が起こるかというと、第一に、寄り合いなどで酒を飲んだときです。「酒なんか飲むからだ。」と、本人は言われてしまうのではと考え、がまんしてしまうのです。第2に乗り物に乗っての旅行。同じ姿勢で、長い時間、座っていると、骨盤内の血液がうっ滞して、前立腺が充血し尿閉となってしまい、楽しい旅行も台無しです。
[第3期]常に、膀胱内に尿が100〜200mlある状態で、トイレにて、チンチンをしまうときに、タラタラと小水が漏れて、下着やズボンを濡らしてしまう状態です。本来、膀胱自体に細菌が浸入しても、排尿により空っぽになって粘膜と粘膜が合わされれば、自浄作用により細菌が死滅すると言われておりますが、常に残尿があるために感染(膀胱炎)が起き易い状態にあるのです。そして、膀胱は出し難い尿を出そうと、今までよりもっと強い力を必要とするために、膀胱の壁の筋肉は、太くなり、その結果 、膀胱の粘膜は凸凹となり、肉柱形成という状態になります。また、膀胱壁の弱い部分は、強い圧力によって外側に押し出され憩室という小さな部屋が出てきてしまいます。そして、それでも行き場のない小水は、尿管を逆流して、イラストのように腎臓まで上がってしまい、水腎症という状態をつくり、腎盂腎炎を起こしたり、腎不全の状態となってしまいます。(当然、人工腎臓透析に入ってしまう人もおります。)その場合、フォーレーカテーテルを膀胱に入れ、腎臓の働きを良くするようにしなくてはなりません。

 ところで、治療ですが、第2期でも、薬で良くなる例はたくさんあります。しかし、手術を勧める場合もありますが、お産を経験したことのない男性にとっては、手術という言葉は、恐怖でもあります。しかし、私は、基本的に手術は、父母からもらった体の部を傷つけることでもあり、出来れば避けたいと思います。そして、避けるべく患者さんと共に、治療していきたいと思っております。また、手術ですが、当院において、平成10年9月より最新の経尿道的前立腺高温度治療器・エンドサームを使い、低侵襲性に治療にあたっております。入院の必要がなく、外来で1回60分間で治療ができます。(平成10年4月より)健康保険で治療を受けられます。
  治療の方針は、あくまでも患者さんの家庭環境から年齢、合併症などを考えて選択していかなくてはならないと思います。尿の出が悪いから前立腺肥大症とは限らないのです。膀胱癌や前立腺癌という病気の場合もあるのです。癌といっても、いずれも、薬や簡単な手術で十分に完治する病気なのです。ただし、早期発見されればの話ですが.最近、多くの人が自分自身の健康管理に注意を向けるようになり“1日ドック”などすすんで受けるようになりました。しかし、胃袋や肺や心臓ばかり検査するところが多く、受ける人もそれで安心していることが多くはないでしょうか。 私達、泌尿器科専門医は、直腸診で、指一本で、前立腺の肥大症が癌か炎症かを瞬時に鑑別 することができるのです。
  60歳を過ぎた男性で一度も直腸診を受けたことのない万は、一度直腸珍を受けてみられたらいかがでしょうか。尿の出が悪くなってきた原因をはっきりさせておけば、一つ安心が増えると思うのですがいかがでしょうか。 ところで、西ドイツでは、1971年から45歳以上の男性は、すべて前立腺癌の予防検診を愛けるように法律を制定し、健康保険で受けられるようにしております。その時、検尿も実施し、顕微鏡で沈渣を見ることによって癌の早期発見に役立っているとのことです。西欧では、前立腺癌は、肺癌・胃腸癌についで第3位 の死亡率になっているのです。日本も、食生活の西欧化により、近い将来前立腺癌の頻度が急激に増加してくると考えられます。60歳以上になったらはっきりした自覚症状の出る前に、一度泌尿器科の門をくぐってみてください。 おわりに、寿命というものは、まさに文字通り生命を寿ぐものでなくてはならず、そのためには人生の総まとめの時期と見ることのできる老後は健康で生きがいのあるものでなくてはならないと思います。
  健康な老後を送るための障害は、現代の医学をもってすれば、完全に取り除くことができるものがたくさんあります。前立腺肥大症もまさにその一つです。積極的に解決して健康で幸せの多い老後をお過しください。


前立腺肥大症の日常生活の注意

1.規則正しい生活と十分な保養
 ・夜更かしは慎しむ。
 ・散歩など適当な運動をする。
2.排尿
 ・おしっこがしたくなったら我慢しないで排尿するようにつとめる。
3.便通
 ・便秘をしないようにつとめる。
4.水分
 ・夕方から夜にかけて以外は、水分を十分にとる。
 ・排尿の回数を恐れて水分を制限するのは体のためによくない。
5.飲食物
 ・酒の飲み過ぎや刺激の強い香辛料はなるべく控えること。
6.座る
 ・仕事やレジャーのために長時間座る必要のある場合は、ときどき歩き回るようにする。
 ・固い椅子やフカフカした椅子は避ける。
 ・長旅・長時間のドライブ、徹夜マージャン、宴会、冷たい所に座っての釣り、長時間の自転車乗車などはいけない。
7.下半身の保温
 ・体を冷やさないようにする。
 ・毎日40℃前後の風呂にゆっくり入る。
8.夫婦生活は、長時間がつ過度にならないようにする。

 

鈴木皮フ泌尿科クリニック 診療科目 泌尿器科・内科・小児科・皮膚科・性病科 宇都宮市柳田町1284-1TEL028-660-2022