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第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第1章 帽子を被ったオチンチンの話
おかあさんへのメッセ−ジ

第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第2章 おちびさんのオチンチンの
病気−こんな時こそ泌尿器科へ
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第3章 前立腺肥大症の話
健康なお年寄りの病気
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第4章 前立腺癌−
米国では癌罹患率第1位
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第5章 前立腺炎―ご存知ですか?
若い人の「前立腺の病気」
第六章 血精液症の話し第6章 血精液症の話し
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第7章 性感染症対策
マニュアル(其の一)−男性編
第二十二章 「風邪を引くと、何故よく眠るのか?」について 第7章 性感染症対策
マニュアル(其の二)−女性編
第八章 シラミのお話し第8章 シラミのお話し
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第十章 尿路結石の話第10章 尿路結石の話
第十一章 漢方薬の話し(其の一)第11章 漢方薬の話し(其の一
第十一章 漢方薬の話し(其の二)第11章 漢方薬の話し(其の二)
第十二章 尿路感染症の話し第12章 尿路感染症の話し
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第十七章 「九月の病気」の話し第17章 「九月の病気」の話し
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第十九章 「道下 俊一先生」の話し第19章 「道下 俊一先生」の話し
第二十章 インフルエンザについて第20章 インフルエンザについて
第二十一章 肥満について 第21章 肥満について

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何故よく眠るのか?」について


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第20章 インフルエンザについて

もう師走です。この時期になりますと、インフルエンザに対しまして
「今年はどうなる?」
「予防接種は?」
などの話題が巷で聞こえてきます。
ところで、そのインフルエンザの歴史って知っていますか?

最も古い記載は、紀元前412年のヒポクラテスの記述の中にあると言われています。突如発生しては、あっという間に広がり、そして消滅する・・・同じ時期に流行が発生することから、16世紀のイタリアの占星家は、これを星や寒気の影響による病気と考えていました。1504年に流行したとき、「天体の影響」という意味で“インフルエンツァ”と呼ばれたのが語源です。
日本でも、古くは平安時代にインフルエンザの流行をうかがわせる記載があり、源氏物語には「咳逆」・また増鏡(ますかがみ)には「しはぶき(咳)やみはして人多くうせたまふ」と載っています。江戸時代には「はやり風邪」と呼ばれ、「お駒風」・「琉球風」・「谷風」などと流行によって世相を反映した名がつけられていました。
1890年(明治23年)アジア風邪が世界的に大流行しました。その頃から、我が国ではインフルエンザのことを流行性感昌(流感)と呼ぶ事が定着しました。
1918年(大正7年)スペイン風邪が猛威をふるい、全世界で惟患者数6億・死亡者数3000万人といわれました。我が国では1919年(大正8年)に惟患者数2300万人・死亡者数38万9千人といわれていました。そして、当時の新聞に「流感の恐怖時代襲来す? 一刻も早く予防接種せよ!」という見出しがでるほどでした。
そして、ヒトのインフルエンザは、1933年(昭和8年)に初めて普通の風邪から分離されました。その後ワクチンの開発が進み、米国では1940年代に不活性化ワクチンが実用化しました。そして、1972年(昭和47年)に我が国でもワクチンが実用化されました。 随分、インフルエンザも歴史が古いのですねぇ〜

インフルエンザ・ウィルスには、A型・B型・C型の3種類があります。このうち、これまで世界的に大流行し、多くの人命を奪ってきたのがA型です。
インフルエンザ・ウィルスの表面には2種類の抗原があり、それぞれHとNで表現されます。A型ウィルスの場合、Hには13種類、Nには9種類あります。 なぜインフルエンザ・ウィルスにだけは何度も罹ってしまうのでしょうか。
インフルエンザ・ウィルスが起こす変異には、HとNの組み合わせが変わる変異(抗原シフト)と、Hの一部分やNの一部分が変わる変異(抗原ドリフト)の2種類があります。
野球的に表現すると、Hを投手・Nを捕手と仮定した場合、投手や捕手が選手交代するのが「抗原シフト」、投手はそのままで投げ方が変わったり、捕手はそのままで配球が変わったりするのが「抗原ドリフト」と言えます。打者は攻略法を考えなければなりません。
このようにインフルエンザ・ウィルスは打者を翻弄する術を備えているため、打者である我々の免疫能が対応しきれないため、インフルエンザ・ウィルスに打ち取られてしまうわけです。
世界中で大流行を起こすインフルエンザ・ウィルスは、大流行を起こす前まではどこに潜んでいたのでしょうか。
スペインや香港やソ連などの地名が付いていますが、実はそれらの起源は中国であることがわかっています。
なぜ中国なのでしょうか? それは中国が世界最大のカモの産地であることが関係しています。
インフルエンザ・ウィルスは、ヒト以外の動物にも感染する人畜共通感染病です。 スペイン風邪の際、アメリカで豚が一斉に風邪をひいたことが記録されています。1979年、アメリカ東海岸で大量のアザラシが死んだ原因もインフルエンザであることがわかりました。
この中でも特異なのがカモで、通常インフルエンザ・ウィルスは肺や気管支などの呼吸器に感染し増殖しますが、カモの場合は腸の中で増殖します。カモ自体は何の症状も起こさず、ひたすらウィルスが大量生産され、糞とともに排泄されているわけです。おそらくインフルエンザ・ウィルスは、カモの腸の中でぬくぬくとシフトとドリフトを繰り返し、世界中に飛び立っているのでしょう。カモは渡り鳥ですから、中国からシベリアへ渡り、その後、西へ渡ればヨーロッパに、東に渡れば日本にインフルエンザ・ウィルスが運ばれることになります。
かつては、学校でインフルエンザの集団予防接種が行われていましたが、1987年から強制ではなくなりました。その後、1994年の予防接種法改正から、予防接種したい人が病院で接種を受けるという今の形式になりました。
大流行の時は別にして、そうでない場合の風邪に対する認識について、健康な人が予防策に苦心することも大切ですが、風邪に罹った人が他人に移さない苦心の方が優先されるべきだと思います。 他の感染症(SARS・性病など)についても同じように、他人に感染させないことが第一と思います。


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