紀元前400年もの昔、ギリシアの医聖ヒポクラテスは、病気を診るときに尿の観察が役立つことをすでに知っていました。そして、科学の発達した現在 でも、病気の早期発見や治療の第一歩として、尿の検査は、積極的に行なわれております。ところで、昭和48年より学校検尿が全国的規模で実施されるように なりました。それは、昭和30年を境として、従来の三大学校病と言われた結核、トラコーマ、寄生虫は影をひそめ、これにかわって長期欠席児の病気として、 腎臓病、心臓病、喘息が多くなって来ております。腎臓の病気の早朝発見、予防活動、生活指導、そして治療等を考えて、学校集団検尿が始まったのです。
では一体、尿とは何でしょうか。 尿にはどんな重要な意味が隠されているのでしょうか。まず、尿は腎臓で作られます。身体に必要な水や栄養、塩類は再び体の中に戻され、尿素などの老廃物や 過剰の塩類は尿として排泄されるのです。もし、体に異常があると、いち早く尿に現われます。尿を検査することで、沢山の情報を知ることができます。では、 どのような情報を得ることができるか話していきたいと思います。
〔尿の色〕淡黄色は正常です。
尿の色 |
原因 |
病気 |
淡黄色 |
胆汁と食物の色素 |
正常 |
赤色 |
血液または薬の色素 |
尿路結石、腎炎、肪胱炎
腎・尿管・肪胱癌 |
無色 |
尿量多い |
糖尿病 |
褐色 |
ウロビリノーゲン・ビリルビン |
高熱、肝・胆道の病気 |
〔尿の濁り〕排尿の直後は透明でも、放っておくと誰でも濁ってきます。
〔尿の臭い〕芳香性の臭いがします。
排尿直後よりアンモニア臭、果実臭は要注意です。膀胱炎では、尿素が膀胱で分解されアンモニア臭がします。糖尿病の人では、果 実のような甘だるい臭いがするときは、アセトンが出ている場合なので注意しなくてはなりません。
〔尿比重〕 尿は水分だけでなく、先程話したように、色々なものが含まれています。その濃度の目安となるものです。
〔尿のpH〕 体の余分な酸やアルカリを排泄し、身体を一定に保とうとするために、尿のpHは変化します。
酸性 |
←--------→ |
アルカリ性 |
睡眠中 |
←--------→ |
尿路感染症 |
発熱 |
←--------→ |
嘔吐 |
下痢 |
←--------→ |
その他 |
その他 |
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〔蛋白尿〕健康な人でも、ごくわずかな蛋白は出ています。腎炎などの病気ですが、これが、学校検尿の早期治療の目標なのです。しかし、すべて腎炎かといいますと、腎臓に異常がなくても蛋白尿が見られることがあります。生理的蛋白尿と呼ばれております。
・激しい運動の後
・ 妊娠
・ 厳しい寒さにさらされたとき
・ 熱い風呂に人ったとき
・月経の前後
これらは、一過性に蛋白尿が見られるだけです。
〔尿糖〕まず、誰でも糖尿病を思いうかべると思いますが、その中には、腎性糖尿病という状態もあります。血液中の糖を検査しなくてはなりません。
〔尿ケトン体〕脂肪が体の中でエネルギーとして使われて、その余りがケトン体となって出てきます。
極端なダイエット 嘔吐
脂肪の摂りすぎ 妊娠
発熱 糖尿病
下痢 その他
で原体にケトン体が見られます。
〔尿ビリルビンとウロビリノーゲン〕ビリルビンもウロビリノーゲンも肝臓で作られた十二指腸に排出される胆汁の中に含まれています。しかし、健康な人には ビリルビンは全くでてきません。ウロビリノーゲンは見られることがあります。胆管がつまると、ビリルビンが尿中に見られます。溶血性黄疽の時は、ウロビリ ノーゲンが増加します。両方とも、増加するのは、肝硬変などがありますので注意しなくてはなりません。
〔血尿〕一番注意しなくてはならないのは、癌ではないかということを調べなくてはならないことです。 検査で、以上の異常があったら必ず詳しい検査を受けるようにして下さい。
一口メモ
ヤケドをしたら
ヤケドをしたら、ただちに冷やすこと、これにつきます。治ってもケロイドが残ったりしますので、ごく軽症以外は、近くの開業の先生のところへ行ってください。
1.直接氷が傷口にあたらないように、流水で15〜30分間位冷やす。
2.勝手に軟膏を塗らない。
3.無理に水ぶくれを破らない。 |